あるとき、ある期間、服を着ることが苦痛だった。どんどん丸くなる腰まわり、膨張する二の腕。何を着ても「あの時」のような自分には戻れない。バーンと張った顎に華奢な身体。長くしっとりとした腕。ペタンコなお腹。あーあいやだと、見て見ぬふりをしていたら、現実の自分はどうにも「似合う服がない」状態に陥っていたのだ。そんなときに引き受けたのがここに収めた『メイプル』の連載だ。あれこれ着て、確かめて、それなりに楽しんで。でも、しばらくして私のなかである違和感が生まれてきた。服を着ている自分を心の底から好きになれず、もっと正直にいえば自分で自分を「ま、いいか」と受け入れることができなくなったのだ。あらためて掲載の写真を見ると、それがよくわかる。私はだんだん膨張し、何を着てもシルエットがぼんやりとしていった。服が大好きな私は、新しいものを身にまとった“人形”だ。が、どうも納得がいかない。何かが服を着る率直な喜びをさまたげていた。
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